「水のようにスーとのめる」
そんな酒の存在を世の中の飲み手に知ってほしい。そんな想いで醸しておりました。上品で穏やかな香りと甘味があり、やさしく染み渡るような旨味は酵母の健全な発酵で。当時の日本酒業界では考えられないほど、手間暇を惜しまず、丁寧に造られていました。
時代を越えて、今日においても日々進化を続けております。
機械導入による省力化が進む現在の日本酒業界の中で、初心を忘れず、てづくり製法を伝承しています。「本州一寒い」と言われる盛岡の冬の最も寒さの厳しい時期、10度前後の冷水で丁寧に米を洗い、泊まり込みで麹をつくりあげ、およそ1カ月の長期低温発酵を経て醸し上げます。
五感を駆使して酒を醸す、ということは私たち造り手にとっても大きな意味を持っています。感覚を研ぎ澄まし、酵母や麹など微生物たちのはたらきを感じ取るという経験は、酒造りの深い境地に達するために必要不可欠なことです。20代の若手も造りの中核に携わり、50年以上続く「てづくり七福神」の担い手として醸しています。
仕上がった「てづくり七福神」は、盛岡の冬を想わせる凛と涼しい吟醸香を持ち、なめらかに、スルリと流れる辛口の純米大吟醸酒です。ぜひ、私たちの想いの詰まったお酒をお召し上がりください。